02-3.後

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「じゃあ、やめる?」  と聞くと 「え? どうしてそうなるんです?」  石原は困惑した。 「だって、イヤなんだろ?」 「嫌じゃないです」 (さっき「もげたらいい」とか恐ろしいことを言ってたくせに) 「だって、さ。陸裕は俺の手の怪我のことで負い目があるだろ。それで、こういうことをさせてくれるって言うのなら、それは筋が違うって話だし」 「は? あの……?」 「そこんとこは、義理とか負い目とかでなく、俺は好きだからしたい訳で」 「いや、あの」 「気持ちもないのにするのは、おかしいだろ? 陸裕が体で恩返し……みたいに思っているのなら、俺は逆にしない方がいい」 「負い目……」  石原が呟いた。  それで真が 「負い目を感じることなんかないよ。あの場であれを目撃したら、相手が誰であろうと助けに飛び出したし、誰だってああしたと思うよ。考えるよりも行動してたってパターンかな?」 「……それって」  明らかに石原の声が沈んでいた。 「僕じゃなくても、真さんはああしたってことですか?」 「え。あ、いや、えっと……」  どう答えたら正解なのだろう。  石原に負い目を感じて欲しくない。  けれど明らかに石原は、今の真の言葉に気落ちしている。
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