02-3.後

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「えーっと……。そうだけど、そうじゃない」  どう言ったら、石原に自分の気持ちが正しく伝わるのだろう。  真は言葉を選びまくっていた。 「意味が分かりません」  詰め寄るような石原の強い視線に、真は気圧され 「えーっと……だな。お前だったから、気になってずっと見ていたし、そのおかげですぐに飛び出すことができた……」  手探りみたいに自分の気持ちを言葉にしてみる。 「……じゃ、ダメかな?」  自分のことなのに、思わず石原に (今ので「正解」か?)  答え合わせのように聞いてしまっていた。 「……いいです」  石原の表情を見て、真はほっと胸をなで下ろした。 「だったら、いいんです」  少し頬を赤くして、石原は自分自身に言い聞かせるようにもう一度言った。 「そういう陸裕はどうなんだよ?」 「むしろ、や……やりたいです。その……前回覚えてないので、これが真さんとの初めてみたいなもんだし」  さっき、心の準備がどうとか言ってなかったか? 「ん?」  心なしかビール以外の匂いがする。  酒の匂いを漂わせる石原に、真は 「陸裕。まさかお前……」  恐る恐る聞いた。 「心の準備ができず、近くのコンビニでワンカップを少々」 「どこのおっさんサラリーマンだ?」  昼ご飯のお供にビール一本飲んだ自分の方が、まだ可愛いと真は少なからず思った。
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