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03-1,前
それから6年が過ぎた。
上司から再三昇級試験を受けるよう勧められ、志々目真は渋っていた。
理由は簡単。常に石原陸裕と交番勤務をしていたいのだ。
だが、石原がそれを許さなかった。
「僕を理由に昇級を逃げないでください」とか「そんなこと言っていると、僕、別れます」とか「真さんの育成に、出張、視察、研修と一体いくら使われていると思っているんですか?」などと本気で言ってくるのだ。
それで真は一緒に居たいという幼稚な恋心を割り切って、昇級試験を受け、それなりに出世の道を歩んでいた。
一緒に住みたいという真の意見も、石原は聞き入れなかった。
やがて、真は内勤になり、二人の上司だった岸田も真ほどではなかったが昇進し真と同じく内勤に替わった。
石原は3カ所ほど場所を替えながらも、地域の交番勤務をしていた。
同じ交番勤務ではなくなったものの、石原と真はそれなりにうまくいっていた。
……ように、思われた。
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