03-1,前

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 しばらく連絡取り合わない日々が続いた。  それまでは休暇を合わせて取り、共に過ごしていたのにどちらから折れることもなく、一週間経ち、二週間が経った。    一ヶ月経つ頃に、石原が書類を提出しに警察署を訪れた時だった。  たまたま真に廊下で会い、 「少し時間いいか?」  と誘われた。  地階の自販機の前で、共にコーヒーを買い、備え付けのベンチに座る。  久しぶりに会った真は、なぜか晴れ晴れとした顔をしていた。 (何を言われるんだろう……)  真の人懐っこい笑顔に、うっかりと付いてきてしまったが、石原に不安がよぎる。 「あのさ、この間はごめん。自分のことを棚に上げて、本当に悪かったと思っている」 (本当ですよ) 「でも、陸裕の本心が知りたい」 (言える訳ないでしょ) 「俺たち、もう、絶対にダメなのかな?」 「二股かける気ですか?」 「いや、あの、女性は彼女一筋で、男はお前一筋……ってわけじゃダメかな?」 「ダメでしょうね。すごく都合いいと思いますよ」 「俺としてはだな……陸裕と一緒に居たい。でも、彼女も大切にしたい」 「彼女を大切にしたいと言っている時点で、僕のことは諦めるべきですね」 「うーん……。陸裕も付き合ってみろよ。女性もいいもんだぞ」 「は?」   石原の方は怒るよりもむしろ (この男は、6年もつきあって、僕のことをこんなにも理解していないのか)  と呆れた。
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