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「で、いくら欲しいんだ?」
真面目な顔をして言うと、石原が
「いくら……というか、犬が欲しいんですよ」
と答えた。
「犬……?」
「はい」
(手切れ金とか、らしくないこと言うなと思っていたら……)
強請られたのは、なぜか犬だった。
「犬か……。……ブリーダーに知り合い一人いる。柴犬でいいか?」
「願ったり叶ったりです。というか正直驚きです。どれだけ交友関係広いんですか」
だが、納得はできる。
元・恋人の自分さえ手元に置きたがる男なのだ。この志々目真という男は。
つき合いの深さは色々だろうが、とにかく誰とでも広くつき合うことに長けている。
きっと、人と疎遠になることはあっても、徹底的に切れる・嫌われるという経験はないと思われた。
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