03-1,前

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 後日、「これが最後」と約束し、石原は真と公園で待ち合せて二人で会った。  真は、連れてきた茶色の子犬をキャリーバッグごと石原に差し出した。  バッグから出された子犬は、愛らしいくるくるとした目で石原を見ていた。 「うわあ、むちゃくちゃ可愛いですねー。茶色い毛玉みたいだ」 「陸裕、その例えは可愛くないな」 「そうでしょうか?」  真が片手で抱え上げ、石原の胸元に子犬を押しつける。 「コウ3だって」  真から受け取り、両手で抱きしめて聞き返した。 「コウ……さん?」 「仮の名前。飼いだしたら、陸裕が好きに名前を付けたらいいってさ」 「摩訶不思議な名前ですが……。何か意味があるのではないですか?」 「ブリーダーさんが、便宜上、仮の名前を付けているんだ。今回は全部で5匹生まれ、雄が4匹、雌が1匹だったんだ。それで上から順にコウ1、コウ2、コウ3、コウ4、雌はコウ」 「その方が『コウ』にこだわる理由は?」 「ブリーダーさんの名前、『芝崎』さんなんだ」 「芝崎……コウ?」 「ファンなんだって」  聞けば、コウ1は佐藤浩市ファンに、コウ2は山本耕史ファンに、コウ4は稲葉浩志ファンに引き取られ、雌のコウちゃんはブリーダーさんの元で育てられるそうだ。
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