03-2,後

2/8
前へ
/133ページ
次へ
(ケンが、僕の過去を知りたがっていたのは知ってたけど)  石原としては、ずっと秘密にしていたことを、あろうことか真の口からバラされて、たまったものではない。  しかも自分のいない時に話されるのだ。 「だからって、あることないこと……」 「待て、陸裕。俺はないことは言ってない。偽証はしてないぞ」 「……」 (だから、始末に負えないんですよ)  石原が、苦々しく思った。  真がケンに視線を移し 「駄ケンくん。俺、正直に全部話したからね。陸裕との過去のあることあること」 「まこりん、あるある探検隊のようだな」  布団をかぶったまま、ケンは突っ込んでみた。  再三、石原に聞いても、本人からは 「僕の過去なんて知っても、しょうがないでしょう」  と教えてもらえなかったのだ。  真は、どういうつもりか知らないが(ケンは、石原に会いに来ていると読んでいるが)ケンに会いに来ていた。  石原が居ないので暇つぶしに過去を語っているが、石原と違って、この男はとかく口が軽かった。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加