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(ケンが、僕の過去を知りたがっていたのは知ってたけど)
石原としては、ずっと秘密にしていたことを、あろうことか真の口からバラされて、たまったものではない。
しかも自分のいない時に話されるのだ。
「だからって、あることないこと……」
「待て、陸裕。俺はないことは言ってない。偽証はしてないぞ」
「……」
(だから、始末に負えないんですよ)
石原が、苦々しく思った。
真がケンに視線を移し
「駄ケンくん。俺、正直に全部話したからね。陸裕との過去のあることあること」
「まこりん、あるある探検隊のようだな」
布団をかぶったまま、ケンは突っ込んでみた。
再三、石原に聞いても、本人からは
「僕の過去なんて知っても、しょうがないでしょう」
と教えてもらえなかったのだ。
真は、どういうつもりか知らないが(ケンは、石原に会いに来ていると読んでいるが)ケンに会いに来ていた。
石原が居ないので暇つぶしに過去を語っているが、石原と違って、この男はとかく口が軽かった。
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