03-2,後

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「だいたい、ですね」  情報源のケンを石原が睨み付ければ、ケンはカメのように首をすくめて布団の中に顔を潜ませた。 「好きで『マコトさん』と名付けた訳ではありません」 「え? 違うの?」  明らかに落胆した真と嬉しそうにひょこっと顔を出すケンに 「離島に一人で行くのに、寂しいからって、わざわざ元彼の名前つけます? そんなの未練たらたらで、自分の傷、抉りまくりじゃないですか。僕がそんなセンチでドエムなことをする人間に見えますか?」 「見えた」  真は即答し、ケンは 「……見えた」  と控えめに返事をした。 「さっきから、何なんですか? 二人して声を合わせて……」  石原が呆れていると 「合わせようとしているわけじゃない」  ぼそぼそとケンが反論する傍ら 「じゃあ、どうして? どうして『マコト』って付けたんだ?」  期待を裏切られた真が必死に食らいついていた。 「あんなに可愛いんです。せっかくだから、とびっきり良い名前を付けようと思ったんです。でもすぐに良い名前が思い浮かばなかったので、マコトさんには一週間の猶予をもらいました」 「そこで人間の法律を適用すんなよ」  真はつっこんだ。 「なんだか、真さん。法律に詳しくなったんですね?」 「試験あるからな。一応、それっぽいことは勉強した」  と二人でわちゃわちゃ話している横で (まじめな石原さんらしいな)  とケンは思っていた。
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