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さて、こうして島民の冷たい態度にめげない石原の草の根運動が始まった。
立番での挨拶はもちろん、時間を決めて警邏に出かけた。真の真似をして、笑顔絶やさず明るく島民に話しかけた。警邏では、高齢化の進む島で一人暮らしの老人宅を定期的に訪れ、声をかけるようにした。
早朝に海辺に出かけた時に、潮騒荘の跡取り息子(と言っても40歳はとうに過ぎている)で脱サラして戻ってきた藤本に会った。元サーファーでもある藤本は、海が汚くなったと嘆いていた。それでそれに付き合うようにゴミ拾いをするようになった。藤本と共にゴミ拾いをするようになったら、藤本が色々と話してくれるようになった。藤本が一番年の近い友人になった。
警邏で、老人宅訪問を繰り返す内に、島の老人たちと話す様になった。
マツ男の奥さんの葬式に石原が出向くと、一週間後にマツ男は葬儀の礼を言いに駐在所にやってきた。それから、なんとなく話をするようになっていった。
石原が島に来て、1年が経つ頃にはいつしか島に馴染んでいた。
それから3年経って、今度はケンが島にやって来た。
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