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「それで、先ほどの話です。変とはどのように……?」
「そいつ、男のくせに、金髪でチャラチャラした格好。シャツはボタンがないのかねぇ? 前が全部開いてて、おっぱい丸見えなんだよ」
「お……」
石原は言いかけた言葉が卑猥に思え、慌てて口を噤んだ。
(男性だから「雄っぱい」……ですよね、きっと)
女性的にゆっさゆっさしたものなら、太った男性なのかもしれないとも思った。
だが、それなら口さがない竹のことだ。
そのことを一番に言うだろう。
「ありゃ、何だろうね。イヤリングまでいっぱいしてて、気味悪い。オカマかねぇ?」
イヤリングは、頑張ってもいっぱいすることができない。
(きっとピアスのことだな)
と石原は思った。
「都会では、男性もピアスしている人いましたよ」
「でも、一人でここに来るのは変だろ? なんかあると思うよ、あたしゃ」
竹は、大きく湯呑を傾け茶を最後まで飲み切った。
「ごっそさん」
座っていた椅子からひょいと飛び降りる竹に
「お知らせありがとうございます。注意しておきますね」
石原は一礼し、今日の警邏で金髪の彼を探そうと思った。
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