127人が本棚に入れています
本棚に追加
(竹さん……、一番大事な情報をくれていないじゃないですか)
石原の米神を冷や汗が伝った。
ただの若い男なら負ける気はしない。
島に来る前には、いきがったチャラ男や駆け出しのヤクザのパシリを何度も補導したこともある。
だけど、ゆうに180センチを越える大男となれば話は別だ。
はだけたシャツから覗く盛り上がった胸筋、割れた腹筋、二の腕の太さから察するに、虎の威を借る狐ではない。
それなりに場数を踏んだ
(絶対に、喧嘩慣れしてる奴だ)
と、想像できた。
(実践タイプは一番手強い)
こういう自己流で喧嘩してきている男は、一番動きが読めない。
これまで遭遇してきた中でも、かなりやっかいなタイプだと石原は思った。
しかもこの体格差。
165センチの石原が、ほぼ真上に視線を上げて彼の目線とやっと合う。
(あ。190ありそう……)
真上からジロリと睨みつけられたが、石原も警官歴は既に12年を経過。大抵の面倒な連中とのもめ事も処理してきていた。
怯みこそしなかったが、
(ここに来て3年。鈍ってなければいいんだけど)
自信はない。
(もしかしたら、今日は僕の命日になるかもしれません)
最初のコメントを投稿しよう!