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「俺たち、付き合うことになったのも、なかったことにするのか?」
「……すみません。覚えていないので」
だけど、なんとなく。
(なんとなく……告白されたのは覚えている)
打ち上げの後半、石原の隣に来て、しばらく一緒にハイボールを飲んでいたら、
「俺、実は石原のことが好きなんだ」
とさらっと言った。
「すっげー好き。大好き」
周りの喧噪で、おそらく他の者には聞かれていないとは思うが、さらっと、ごく自然に明るく告白してきた。
(僕は……、自分が男性しか好きになれないのは知っているけど)
いわゆる「ゲイ」なんだろうなと思っていた。
高校生の頃から好きになる人が、男性ばかり。
始めは戸惑っていたが、もはやそれが自分の性癖なのだと割り切って考えるようにした。
ただ、人には知られたくないとは思っていたので、ひた隠しにしていたが。
それなのに、志々目真は酔ってたせいか、満面の笑みで言ってきた。
(僕としたことが、流された……とは思えないけど、流されたんだろうな)
というか、そういうことをしたのに覚えてないのも不甲斐ない。
(しかも、酔ってヤっちゃった相手が志々目さんだなんて……最悪だ)
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