04-1.前

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「何、すんだよ!」  石原は無意識に金髪男の頭を撫でていた。 「あ、すみません」  懲りずにまたもや怒られた石原は謝るしかなかった。 (なんでしょうね……? あまりにしょげているようで。つい。マコトさんみたいに扱ってしまった……)  金髪男を撫でた手を激しく撥ね除けられ、石原は (当然の反応ですね)  と深く反省した。  撥ね除けられた弾みで、石原の右手は赤くなっていた。  痛いが、悪いのはうっかり撫でてしまった自分だ。 「君、名前を教えてくれる?」 「……」 「あ、僕は石原っていうんだけど」 「……」  いよいよ口を閉じてしまった男に、石原は戸惑った。 (あー、しまった……。迂闊に触って、完全に怒らせちゃった。これは聞き出すのは無理かな。だったら……連絡船の乗船名簿でも見せてもらうか)  乗船名簿に偽名を使っている可能性もあるが。  今、無理に聞き出すのも難しいだろうと石原が考えていた時 「ケン……」  ぼそっと男が答えた。  まさか答えてもらえると思わなかった石原がびっくりして 「緒方……ケン、くん?」  訊き返すと 「ケン、でいい」  そう言って、ケンは視線を反らした。 「あの……もしよかったらですが、ホテル紹介しますよ」 「金がねえ」 「……じゃあ、駐在所に来ます?」 「行きたくない」 「それは……困りましたね」 「? あんたが困るのか?」  ケンは顔を上げた。 「勝手な宿泊は、この島では条例で禁止されていて、罰金なんです」  観光もメイン産業入りしてからか、勝手に島でキャンプする者が出てきた。その為にできた新しい条例だった。
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