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ある夜、石原が
「ケン、お願いがあるのです」
真剣な顔をして頼んできた。
「今日から、僕と一緒に寝てもらえませんか?」
「え、ええ?!」
動揺隠せない大男が、マジか?と反射的に背を屈め、石原の目線に合わせて顔を見つめた。
「あ! いや、そういう意味ではなく……!」
ケンの慌てぶりに、意味深にとられたことに気付いて石原は否定した。
「変な言い方してすみません。一緒の布団でという意味ではなく、一緒に1階で寝てほしいという意味なんです」
「あ、そ……そう」
何故かケンの目が泳いでいた。
「あのですね、その……誰にも言わないでほしいんですが」
「うん?」
「最近、駐在所の家鳴りが酷くて……そ、その……怖い……んです」
「は? 怖い? 何が?」
ケンは駐在所を見渡す。
「家鳴りって普通じゃないの? この駐在所も割と古い建物だし、家鳴りだってするだろ」
「それが……ですね。その家鳴りっていうのが、なんというか……霊的で」
「はあ、れい……てき?」
ケンの怪訝そうな顔に
「だって、仕方ないでしょ? お化けとか霊とかは投げることできないんですから! 僕、苦手なんですよ!」
ややキレ気味に石原は叫んだ。
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