04-2.中

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(知らなかった……!)  ヤクザもヤンキーもジャンキーも酔っぱらいも平気な石原に苦手なものがあったとは。  確かに、霊的なものは掴めない。  投げられないという理由も分かるが。 「夜中になると二階からぎし、ぎしと、まるで階段を下りてくるような音が聞こえてくるんです。それがだんだん僕の方に近付いてきて……。確かに部屋に何かが入ってくるような気配がするんですけど、僕は一向に目が覚めなくて、指一本、動かせないんです。あれ、金縛りっていうんでしょ? でも、何かが近付いてくるような気配だけは感じて、すごく怖くて……」  青い顔して説明すれば 「それで石原さんはいつもうなされているのか?」  ケンからよく分からない質問を受けた。 「?」 「いや、分からないのならいい」 「とにかく、そういうことでぜひ僕の隣で寝てほしいんです」 「はい、喜んでー!」  気付くと、居酒屋のようにケンは答えていた。
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