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(知らなかった……!)
ヤクザもヤンキーもジャンキーも酔っぱらいも平気な石原に苦手なものがあったとは。
確かに、霊的なものは掴めない。
投げられないという理由も分かるが。
「夜中になると二階からぎし、ぎしと、まるで階段を下りてくるような音が聞こえてくるんです。それがだんだん僕の方に近付いてきて……。確かに部屋に何かが入ってくるような気配がするんですけど、僕は一向に目が覚めなくて、指一本、動かせないんです。あれ、金縛りっていうんでしょ? でも、何かが近付いてくるような気配だけは感じて、すごく怖くて……」
青い顔して説明すれば
「それで石原さんはいつもうなされているのか?」
ケンからよく分からない質問を受けた。
「?」
「いや、分からないのならいい」
「とにかく、そういうことでぜひ僕の隣で寝てほしいんです」
「はい、喜んでー!」
気付くと、居酒屋のようにケンは答えていた。
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