04-2.中

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 電気を消して布団に入ると、数分して 「ケン……、まだ起きていますか?」  駐在所の奥の間。  台所に6畳間が付いているプライベートの部屋がある。  廊下を挟んで向かいに駐在所の仕事する空間。  廊下の先は階段に繋がり、ケンが寝ていた二階へと続いている。  その部屋の奥側に布団を敷き、「絶対に奥に寝せてください」と言い張った石原が声をかけてきた。 「何?」  廊下側の出入り口に近い方のケンが答える。 「すみませんが、僕の手を握っていてもらえませんか?」  石原がそっと布団から手を出す。 (よっぽど怖いんだな……)  ケンがその手を包み込むように握ると 「あ、良かった。なんだか……安心します。これなら眠れそうです」  石原から嬉しそうな声が返ってきた。 (何、この可愛い生き物……)  警察官なんて天敵以外の何物でもないと思っていたが、石原の存在はことごとくケンの概念を叩き壊していた。 (無償で住むとこくれるし、せめてもの代償にと家事をすれば心底有り難がるし、警邏やゴミ拾いに付き合えば喜ぶし……)  やがて聞こえてくるすうすうという寝息。 (明日も早いもんな)  毎日5時起きでゴミ拾いは待っている。  安心して寝入った石原の顔を真横で眺め、ケンはなんだかとても嬉しくなり、石原の手を握り直す。  指と指の間に自分の指を通し、しっかりと握り込む。 (う……。なんだ? 今度は俺が妙に興奮して眠れなくなった……)  ケンは握り方を変えたことを少しだけ後悔した。
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