04-3.後

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(え? え? え? どういうことなんだろ?)  もはや、完全に石原は取り乱していた。  柔道での試合やこれまでの警察官の経験もあって、多少のことでは動じない自信があったのに。 (なんで狼狽えているんだ?)  とにかく、この慌てっぷりを真に悟られるわけにはいかない気がする。 (いや、待て。まずは落ち着け、自分) 「……こ、心づもり……ですよ」  電話であまりの長い沈黙は変に思われる。  絞り出した答えは、自分でも思いがけない言葉だった。 「心づもりィ?」  案の定、真が解せぬと訊き返す。  だが当の石原だって、そうと分かって言ったものではないので、ますます困ってしまった。 「そ、『備えあれば患いなし』って言うじゃないですか」 「備え?」 「知っておけば何かの時に慌てずに済むでしょ? その時の準備を……」 「よく分からん。だから、一体、何の準備? なんで慌てる?」  真はますます分からなくなったようだ。  真の中では答えは明確だった。  ケンが犯罪者なら逮捕。そうでなければ逮捕しない。  それだけの話だ。  一体、石原は何の準備が必要というのだ?
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