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ね、もう好きでしょ?
先輩の作ってくれたフォンダンショコラはさくっと、とろっとで美味しかった。
お昼も御馳走になって、ニャンコの動画を一緒に見て、それからぼんやりと暖かな紅茶を飲みながらぼんやりとする。
別に先輩は何も聞かなかったし、俺も何も言わなかった。
トリートメントしてあげる。
と言われて髪の毛を撫でられて、洗い流さなくていいというトリートメントを髪につけられる。
俺はそんなことをしても、多分大してかわいくはならない。
だけど、先輩の手が気持ちよくて何も言えなかった。
◆
週明け、仲良く過ごしている幼馴染と恋人を見た。
胸はじくじくと痛むけれど、それでも笑って良かったねと言えた。
それでもやっぱり二人を見るのは少し辛い。
お昼家庭科室で食べない? と先輩に聞かれる。
思わず頷いてしまう。
先輩と二人で誰もいない家庭科室でお昼ご飯を食べる。
先輩は俺が知っている位目立つ生徒だった。
友達も多い筈だ。
それなのに俺を優先して貰って申し訳なく思う。
「はい、デザートに。」
渡されたのは銀色のセロファンに包まれたお菓子だった。
「アーモンドチョコよ。これも一応手作り。」
先輩はにっこりと笑う。
なんで、そんなに優しくしてくれるんですか? という質問はチョコレートと一緒にお腹の方に流れて行ってしまった。
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