88人が本棚に入れています
本棚に追加
料理部に入って、月に何度か、先輩と料理を作った。
それ以外に先輩の家に行って、料理を御馳走になった。
時々、買い物に行こうと外に連れ出された。
少しずつ、ほんの少しずつ幼馴染の事を考える事が減っていく。
先輩の手が優しくていい匂いがすることを知っている。
それと同じ位大きくて、指先が少し熱いのも知っている。
幼馴染が恋人に優し気な表情を浮かべているのを見て、一緒に喜べるようになったのはいつだったのかあまり覚えていない。
◆
「ほらー、さくっと混ぜるのがポイントよ!」
先輩に言われて慌てて手を動かす。
先輩のそばは今でも居心地はいい。先輩はずっと優しいままだ。
今日だって、休日だっていうのにガトーショコラを二人で作っている。
ただ、こうやって二人ですく近くに並んでいることでソワソワしてしまう様になってしまっただけだ。
先輩と一緒にいたいのに、上手く二人きりで過ごせない。
先輩は恋をしていると言っていた。
だから、俺は……。
最初のコメントを投稿しよう!