一生に一度の

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「あら、私はいつでも恋してるわ。」 先輩は笑顔で言う。 先輩にとって恋は別に後ろ向きな物じゃないのだ。 少しだけそれが羨ましい。 「告白したことってありますか?」 幼馴染が俺にした質問と同じだ。 彼は、告白をしたい女の子がいて俺にそう聞いた。 俺は幼馴染に告白が出来ないから先輩に同じことを聞いている。 いきなりずけずけと聞くのは良くないのかもしれない。 放課後の教室は俺達以外誰もいない。 だから甘えてしまったのかもししれない。 「今はしないわよ。」 こういうものは自分がちゃんと納得するタイミングっていうものがあるのよ。 そういって先輩は笑顔を浮かべた。 「ほら、クッキー好きでしょ?」 これも飲みなさいと差し出されたのは缶コーヒーとアイスココアだった。 どちらを選んでもいいって事だろう。俺はアイスココアを貰うと口を付ける。 先輩はコーヒーを開けて飲み始めた。 「やっぱり、普通は告白したいものですよね。」 これは質問じゃなくて、自分に向っての独り言の様なものだった。
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