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08 野外プレイはハード
時より溜め息を吐く様子を見て、仕方無くネズミシーなんて人が多い所は止めて、少し都心からずれた場所にある遊園地にする
それでもネズミシーとは行かないが家族連れが来る場所の為に興奮はあるだろう
『 さて、着いた……準備はいいかい?ワンコちゃん 』
「 凄く楽しそうだな……因みに俺は、テレビ取材も受けたことのあるリーマンだからな 」
『 うん、関係無い。ほら行くよ 』
どっかのお偉いの社長なんて聞いたことあるけど、誰もそんな人が首輪を着けて白昼堂々と歩いてるとは思わないだろ
コソコソしてたり如何にもって感じだから、目につくんだと思い、チェーンが繋がるために同じ方向から外に出て、鞄を肩に担ぎ入り口へと歩く
「 せめて、手を繋がないか? 」
『 そうだね、最初は許そう 』
四つん這いにしないだけましだろと思うけど、子供さんがいるから不味いし、それは夜中しかしない
チェーンの付くベルトのある左手と彼の右手を繋げば入り口へと歩く
入場料は無いために、早々に何を乗るか券売機の前へと行く
『 観覧車は最後ね。何乗りたい? 』
「 ……尻に余り刺激が無いもので… 」
『 よし、ジェットコースターを制覇しよう! 』
「 あ、おい!! 」
そう言われると楽しみで仕方無いと、券売機で大量に二人分を購入して、最初に目についたコースターから行く
スタッフの方に少しだけ変な目で見られたけど、まぁ私は気にしてないし、彼もまた変な視線と言うか尻の方が気になるらしい
『 私が奥だね、チェーン的に 』
「 嗚呼、俺……ジェットコースター乗るの始めてだからな……? 」
『 やっぱりお坊っちゃんは、遊園地来ないとか? 』
「 いや、両親が共働きで家族で遊ぶなんて無かったからな……それもあって、修学旅行じゃ乗る気もなかった 」
お客とはしないような会話、けれど遊園地らしいから別にいいと思う
私も久々であり、中々楽しめる相手とは来なかった為に高鳴る胸とどれだけ彼の反応がいいか気になって仕方無い
『 怖いから?怖がって~ 』
「 っ……本当……立場逆だろ…… 」
ごめんね、怖がらないような子で
それもまたいいじゃん、と思って笑ってから安全装置が着ければスタッフの言葉と共に発車の合図が鳴る
『 ふふっ、上がっていく~ 』
「 上がるな…… 」
このカタン、カタンと徐々に上がることのドキドキを体験しなきゃゼットコースターとは言えない
隣では安全装置を握り締めて青ざめてる彼は、周りの風景を見た後に前を見て、此方を一瞬見る
「 ……35歳にもなって乗るなんて…っ……!! 」
『 35歳だったんだー?私は23歳だよー、いえーーい!! 』
「 わけぇぇな!! 」
上がり一気に動き始めれば、彼の声と共に背後では悲鳴が聞こえてくる
それがまたいい声だと思う
『 いい、悲鳴だねぇ~~!! 』
「( 御前だけ楽しいだろ!! )」
奥歯を噛み締めて我慢してるような彼より、両手を上げて風を体感してる方が楽しいし、なんたって悲鳴が心地いい
横に動いたり、ジェットコースターが捻りグルングルン廻っていき、時より感じる浮遊感もまたいいもんだ
『 ふはっ、楽しかった~! 』
「 おえっ…………吐きそうだった…… 」
胃の気持ち悪さに青ざめてる様子を見て笑っては、手を掴みその場から離れれば1回目だけで案内板へと片手を付き嘔吐付いていた
「 吐きそ……なんだ、あの……ぐあんって感じは……キッシュと珈琲が出てきそうだ…… 」
『 よし、じゃー次は此処かな 』
「 おい、待ってくれ 」
丁度よく案内板があったし、此処から近いがあるからそれに乗ろうって手を引き軽く走れば、彼は眉を寄せ着いてくる
まぁ、立ち止まれば首が引っ張られるから嫌なのは想像付く
次のジェットコースターの順番を待ちながら、他愛もない話をする
『 修学旅行って、じゃ…… 何を楽しんだの? 』
「 ……寺とか、見てた……一人で 」
『 寂しい修学旅行だね。私はお化け屋敷にいろんな子を引っ張り込んでた 』
「 最悪じゃねぇか 」
『 ははっ、だって悲鳴やら泣いてるのが可愛いくてつい 』
修学旅行なんて、遊園地やテーマパークに行って自由行動で動けるのが何より楽しかった
一番悲鳴が聞こえそうなところに行って、通りかかったクラスメートとかを引き込んで乗せてたのはいい記憶だ
『 それもあり、中学生の頃からドSとか言われてた 』
「 だろうな。納得だ 」
『 やっぱり?あ、黒狗はあの店に来たきっかけは? 』
時より進む、列の後ろを着いて行きながら何となく問えば彼は少し思い出すように目線をずらしジェスチャーを兼ねて告げる
「 部下の話を聞いてたのもあるが、雑誌を見てな。眠らない夜の街の特集があって、そこにショーをしてたエリ嬢を見て、一度会ってみたいな…と思い店を探して、見付けて入ったらナイスタイミングだった 」
『 リオと遊んでるときに来たもんね……。その特集は半年前かな……私自身のインタビューは無かったけど、写真を撮ってたのは覚えてる 』
「 その写真が良かったんだな 」
『 ゲス顔だけどね 』
ショーはバトラーとS嬢がするために、客では無いけど、その時に相手になったバトラーが後に一番身近で世話をする子であり、意外に虐め甲斐のあったから楽しくて笑ってたのを思い出す
あの時の写真ねーと、納得しつつチラッと背後に見えた普段はOLさんらしい彼女達が此方を向いてるのに気付き、敢えてチェーンの音を立てて引く
「 その顔がよかった…って、なんだ……? 」
『 チューしろ? 』
何故かこっちも疑問系になったけど、彼は直ぐに笑ってから背を曲げ唇を重ねた
触れる程度の口付けと共に、問い掛けてくる
「 もう一回か、ご主人様? 」
『 ふっ、十分。いい子 』
そのまま頭を撫でれば、先程からずっと気になっていたらしい彼女達は声をかけてきた
「 あの……もしかして、エリ様ですか? 」
『 ん?そう、私を知ってるの? 』
「 はい!雑誌知ってて……行きたくても、ちょっと勇気が必要で…… 」
野外プレイだ!なんて喜ぶ彼女達は客の方に一切興味がないらしい
握手して欲しいと言われたから、此所はS嬢らしく返事を返す
『 私に触れて欲しければ来なさい。いつでも相手してあげるわ 』
「 は、はい!いきます! 」
「 二人一緒とかでもいいですか? 」
『 もちろん、構わないわ。可愛いね、揃って相手してあげる 』
フフッと笑ってから髪を揺らし、順番と共にジェットコースターへと乗れば後ろの方へと移動した彼女達と離れ、彼は呟く
「 ファンサってやつか……俺の事は知らないってなんだ…… 」
『 そりゃ誰も、客の顔は気にならないよ。S嬢の方がインパクトある 』
「 ……そうか、俺は三十代のドMのオッサンか… 」
普通に考えたら、顔が良くても先にそっちが気になりイコール客だからこそ放置される
其よりもS嬢の方がMの子には印象が残るもの
理解した彼はどこか開き直ったように頷き、安全装置を持って視線を前に向けた
「 なら、客として楽しむ……ぐっ!!っ~~!! 」
『 アハハハッ!楽しんだらいいよ~ 』
野外プレイより、悲鳴を聞ける場所に来たことの方が楽しくて仕方無い
『 はい、水を飲んでいいよ 』
「 ありがとな……はぁ……今、何ヵ所目だ? 」
『 ジェットコースターはさっきので最後。お疲れ様~ 』
手首のチェーンの部分だけ外して、水を買いに行き渡せば彼は受け取ってから蓋を開け飲む
ベンチに座って俯く様子は調子悪い人みたいだが、実際に慣れないジェットコースターに青ざめてるのは確か
少しはアメが必要かなと思い、横に座り手首のチェーンの付け直し、落ち着くのを待つ
「 はぁ……少し、楽しめた……ジェットコースターは、御前がよく笑うって知っただけいい…… 」
『 悲鳴が好きって分かったなら、普段はもっと声出していいよ 』
「 ……その時次第だな 」
片手を伸ばし頭を撫でれば、返された正論に笑って前を向き背伸びをする
朝から来て、ノンストップで回ったジェットコースターも終わるし昼頃にはなっている
お腹が空いた感覚が有るために問う
『 昼ご飯になんか食べようよ、たこ焼きとかクレープとか 』
「 まぁ、食えなくはない…な…… 」
水を飲んで吐き気がおさまったのか立ち上がる彼に合わせて立ち、フードコーナーへと脚を向ける
揺れる度に聞こえるチェーンの音さえ気にならなかったらそんなに違和感はないだろ
まぁ、スーツなんて着てる人が少ないなかでスーツに首輪とチェーン着いてたら派手だがな
その横にいるガーターベルトを履いてる女がいれば、察する人は出来るほど
まぁ、変な四つん這い途かにしてないんだからいいでしょ、うん!
『 さて、なに食べようかな。メロンクリームソーダは欲しいかな、後はたこ焼き 』
「 はいよ 」
「 俺もメロンクリームソーダと……そうだな、アメリカンドッグ、後……フライドポテト下さい 」
「 メロンクリーム2つ、たこ焼き、アメリカンドッグ、フライドポテトですね、お会計は…… 」
「 はい 」
早々に取り出していた札を渡した彼は、お釣りを受け取り細く小さい財布にいれ、横で待つ
払うのに、と言う言葉はお互いの年収をそれなりに分かるからこそ消えた
取り出していた財布をポケットに入れ直せば、笑みを向けられる
『 ん、なに? 』
「 いや……可愛いなって思って 」
『 本当、顔が好きだね 』
「 まぁな、顔もだが…。性格は難ありだな、顔だ……うん、顔が好きだ 」
連呼されると腹が立つが、まぁどんな顔でも好きだと言うなら十分か
変に胸がいいとか、脚が好きだなんて言う部分フェチよりマシだ
『 私は、尻が好き叩きやすい。音と弾力も 』
「 そんな気はしてたさ 」
鞭を使った時もだが、手で叩くときも丁度いい好き感じだと思う
ふっと、其々メロンクリームを受け取りながらお互いの顔を見てきっと同じ事を思ったと思う
どちらともなく傾げたのだから
『「( 恋愛としては……どうだろうか……? )」』
寧ろ、恋愛ってなんだっけ?と疑問になり
本人として好きなのか分からなくなった
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