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「おい! 止まれ、止まれ! 馬鹿ども!」  十メートルほど後ろで教員と生徒会長が叫んだ。 「ねえ! やばいんだけど、追いつかれる、もう無理、マジ無理」 「馬鹿、(かえで)、ひい、逃げ切るまで、ふう、走るぞ、ひい、ひい、たのしっ、楽しくなってきた」 「僕も何で逃げてんのか分からなくなってきた」 「直導(なおみち)、ふう、余裕だな、はあ、もうちょいきつくしてやろうか、楓も、ふう、ついてこいよ」 「え?」 「せんせえ、廊下、はあ、走っちゃ、ダメですよ、あと会長、足遅いっすね、はあ、勉強ばっかり、してるからじゃないですかあ? あははっ」  追ってくる二人も、逃げている僕も、限界が近く息が荒い楓も、全員で(いつき)に叫んだ。 「馬鹿!」
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