1 思い出話は突然に

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 僕たちの高校は、県内でトップクラスの進学校で、マンモス校であるのにも関わらず、文化祭のレベルが低い。毎年、文化祭は適当にこなすイベントとして捉えられ、全体的にヤル気がない。  それは、教師も例外ではなかった。教員は今日のように文化祭については僕たち文化祭係に丸投げだし、生徒も、授業が潰れるからラッキーだな、くらいにしか思っていない。  僕だって、何か思い入れがあってこの係になったかと言われれば、特段そんなことはない。適当な文化祭の企画運営なんて超がつくほど簡単で、内申点も稼ぐことができるし、仲が良い三人でやることが出来る。そのくらいの理由だった。  放課後。仕方なく三人で集まって、まだ何も記入されてない文化祭ノートと文化祭関連の資料を机の上に広げる。各クラスで何をやるか決めて、明日までに委員に出さなくてはならない。  僕は聞いた。 「どうする?」  楓と樹は目を合わせ、肩をすくめて首を横に振った。  しばらく沈黙があって、椅子にだらしなく座っている樹が天井を仰ぎながらよくわからないことを言った。
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