1 思い出話は突然に

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「文化祭ってさー、多分人生で最後だよなあ」  今度は僕と楓が目を合わせて、首をかしげた。 「まあ、うん。そうだろうね。大学の学祭は文化祭とはちょっと違うだろうし」 「そーね。てか、高三なんだしイベント全部が人生最後なんじゃない? やば、私なんもしてねー」  樹は椅子に座り直して「ちょっと」と僕らに小さく手招きした。僕と楓は再び目を合わせ、怪しむように顔をしかめながらも、誰も居ない教室で机一つに顔を近づけて集まった。 「なあ、どうせクソみたいな文化祭やるならさ、無茶苦茶やりたくねーか」  樹は悪事を働くように囁いた。 「無茶苦茶って?」 「それはだな」  樹は、提出用の文化祭ノートに「教室展示」とだけ書き込み、悪い顔になって僕らに言った。 「森を創る」
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