イジメ

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イジメ

6年生が始まってはや一ヶ月。 夏休みまで残り3ヶ月。 いや、正確には2ヶ月と16日。 私は当初陰キャで過ごせば大丈夫と言っていた自分を殴りたい気持ちだった。 毎朝校門をくぐると私に罵声が飛んでくる。 「お〜い、個々は豚小屋じゃねぇ〜ぞ〜。」 「豚クセェからこっち来んなよ。」 「よっ! 豚野山(ぶたのやま)っ!」 「ひがぁ〜しぃ〜、豚野山ぁ〜。」 などと高身長なだけに、豚だけでなくお相撲さん呼ばわりされている。 でも私は痩せる気はない。 毎日毎日、豚扱いをされ、友達と呼べる子はいない。 もちろん、中学受験をするから、もうすぐでこんな奴らとはお別れだ。 ある休み時間の事。 私は中学受験対策の本を読んでいた。 まだどこを受けるかは決めてないから、表紙に中学の名前が書いていない赤本を読んでいたのが悪かった。 「お〜い、豚。何読んでんの〜?」 「え、なに? 中学受験? いやいやいや、豚の癖して何受験しようとしてんだよっ!」 と私に絡んできた女子に囲まれ、私は赤本を取られてしまった。 もちろん、こんなことは日常茶飯事だから、個々は何も言わないほうがいい。 「え? なにこれ。学校名書いてないじゃん。」 「あ〜、わかった! これ豚の学校の赤本じゃなぁ〜い?」 「うわ〜。ってか豚なんだから困難読めないでしょ?」 「捨てちゃえ〜。」 その言葉に私は少し反応する。 上靴が水浸しになってたり、体操服が無くなってたり。 そういう事はよくあったけど、赤本や勉強道具をこんな扱いされたことは無い。 こんな嫌なやつらだけど、コイツラも受験軍団なのだ。 きっと赤本に学校名が書いてないから、自分たちと同じ学校に通わせないように、こうやってやっているんだろう。 でも……。 「まずはさぁ、お茶かける?」 「ビリビリにしてやるぅ〜!」 「まって! それはやめて! お願い!!」 さすがの私も遂に声を出してしまった。 目の前で赤本がビリビリに破かれていく。 「ブヒブヒうるせーんだよ。これ、拾っといて?」 それだけいうと、女子軍団は去っていった。 私は悔しさから急いでビリビリになった赤本を拾って捨てた。
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