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ティガは目を覚ました。
目の前に広がるのは黄金の山、ハルモニア・ザ・オーシャンに火球をくらった後からの記憶がない。ここが極楽浄土か…… 美しい花が咲き乱れる場所と聞いていたのに実際にあるのは黄金の山、冥王さまも俗っぽい場所を作ったものだ。
そんな下らないことを考えていると体の節々に痛みを感じる、何度か痛みを感じたところで「自分は死んでいない、ここは現世だ」と、言うことに気がつく。そして、何か物音が聞こえてきた。その方向を向いてみると、何者かがボートに何かを運んでいた。目を凝らしてみれば、運んでいるのはアルキオン船長、その何かは宝箱だった。
「あ、アルキオン船長?」
「起きやがったか」
「どうしてこんなところに…… やっぱりここはあの世…… それも地獄ですか?」
「ま、この世は地獄だからな。間違っちゃいない」
「あの…… ハルモニア・ザ・オーシャン…… いえ? 白い龍は?」
「洒落た名前をつけたものだな。あの龍ならマストが刺さって永眠してるぜ?」
ハルモニア・ザ・オーシャンはマストが頭に刺さった状態でそのまま放置されていた。
「あれ…… 誰が……」
「なに寝ぼけたこと言ってるんだ。お前だろ? 俺は後ろからボートでこっそりつけてきただけで、直接殺ったのは見てないがな」
「そうか…… 僕たち、勝ったんだ……」
「ま、俺はそのお零れに預かるって訳だ。ボートにギリギリ積める分だけでも国が買えるぜこりゃ」
本人は何もしていないくせに宝だけは持っていくのか。ティガはアルキオン船長の図々しさと厚かましさに腹を立てた。しかし、海賊とはこんなものかと考えて諦めの境地に足を突っ込むのであった。
「ま、お前らは俺らのために頑張ってくれたんだ。礼は言うぜ? 弾丸でな」
アルキオン船長はティガにフリントロックピストルを向けた。そして含み笑いの笑顔を浮かべる。
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