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「先生。でも、もしそういうものができたらどうなるの」
「……ありませんし。あってはならないのです」
教師は装置を使い、空中に映像を映した。
「このように全ての物資は世界人口に行き渡る数だけ生産されています。なので取り合いは起こりません」
やがて終了したので生徒達は感心しながら移動して行った。教師は後片付けをして校舎に戻ってきた。
「どうでした先生。今年の子供達は」
「はい。素直で良い子ばかりですね」
「では全員合格ですか」
「いえ。気になる子がいました」
遺伝子治療を施し誕生した子供達。彼らはみな従順で素直な性格の人間だった。しかし本能が出てくるこの年頃。密かに人格テストをされていた。
「どの子ですか。最後のLiko7とyu8ですか」
「今データを見ていますが……この子ですね」
教師は冷たくデータを示した。
「g531は取り合いの時の興奮度や取れなかった時の喪失感の数値が高いです」
「脱落者は一人か」
「そうですね」
彼は無情に話しこの生徒の移送を手続きしていた。性格に問題があると認定されれば別の収容所に移され薬にて治療を受けることが法律で定められていた。
手続きを終えた教師はふと手を止め上司に尋ねた。
「……あのすいません。過去の資料を見ると警察という公の機関がかつてあったようなんですがこれは何をするのですか」
「ああ。私も研究したんだがね。奪い合いをした人間が罰を恐れて逃亡するのを捕まえる機関だよ」
「ひどい話ですね?今は定めに従わない人などいないのに」
「ああ。この時代に生まれて本当によかったよ」
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