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「だから、これは本当に私の、個人的なわがままだから。面倒だったらいいんだよ」
こてんっと首を傾げならが、西野の左手を両手で包み込む。そして、無理をするかのように笑う姿は「守るべき女の子の姿」そのものであった。
その顔で、感情が昂ったせいか潤んだ瞳でじっと見つめられたら、その女の子のために大体の男は何かしたいと思ってしまうらしい。西野は実際にそう思った。
例外として、先生と香川だけは「こんな風に迫られたら、普通の男ならOKしてしまうんだろうな」と冷静に見ていた。二人は、女の怖さを知っているから。
「そ、そんなことはないです! 二人とも写真に写りたいからって揉めて、撮影券をかけた勝負をしてただけですから。あと一本勝負だけなんで、すぐ終わらせます」
顔をタコのように真っ赤にさせながら、勢いよく宣言する。今まで写真を撮りたくないとごねていた奴が何を言っているのか。この場にいるクラスメイト全員が思ったが、そんなことを知らないアイドルは笑って死刑宣告をする。
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