漢の戦い。

3/11
前へ
/11ページ
次へ
「クッソ、俺がグーを出していれば負けたのに」 「俺もグーを出していればよかった」  今度は二人して同じように右の拳を白くなるほど握りしめて、同じ行動・言動をとる。けれど、ふっと西野が脱力してポツリと呟く。 「てかさ、なんでこんな戦いをしなきゃいけないんだ」 「そこに突っ込んだら負けだよ、西野。お前が人気アイドルの高橋かりんちゃんと写真取れるかもーって、一番喜んでたじゃん」 「そうだよ、喜んでいたよ。けどよ・・・・・・」  潤んだ瞳を釣り上げて、西野は心の底から叫ぶように長い髪を揺らして天に向かって叫ぶ。 「けどよ、なんで女装したまま撮らねーといけないんだよ!!」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加