漢の戦い。

4/11
前へ
/11ページ
次へ
 香川はため息を吐きながら淡々と西野を宥める。その身は黒の膝上王道メイド服に包まれているが、怒りの感情が前面に出ているため今は素直に可愛いと言える状態ではない。 「仕方ないさ。でも、人気が上がってきてテレビも出たことある地下アイドルの子が「ランダムで全国どこかの文化祭一校だけ行っちゃうよー☆」っていうSNSの企画がうちに当たったんだ。その企画だけでありがたいじゃないか。  そんな中で「人気投票で一位になった女装カフェの子と、記念に写真撮ろうか」って言ってくれたんだ。すごく優しいじゃないか」 「ああ、そうともさ! だけどさ、まさか「女装のまま」撮ることになるとは思わないじゃなか」  どこぞの漫画の登場人物のように眼鏡をクイット上げて淡々と述べていく彼に対し、西野はチープなセーラー服を気にせずガニ股になって全身で悲しみを表すように振り乱す。 「さっきも言ったように、「女装カフェの子」と言われたんだから遠回しに「女装が似合ってる子と撮りたい」って言ってるようなもんじゃないか。お前その場で「是非」って笑顔で答えてただろ」 「そうだな! その時は可愛い笑顔に反射的に頷いちまったんだよ。  けど、後でしくったってわかったわ。、SNSでの話題作りの一環だってわかった。後夜祭で表彰された時、悪ノリで女装させられたまま香川と行ったら、目がキランってなってたもん。あれはハイエナが獲物を定めた時の目だったぜ。俺たちの女装姿が下手したらネットで晒される」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加