漢の戦い。

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「いいえ、こちらこそ企画に応募いただきありがとうございます。こんなにも楽しい文化祭にひと時だけでも参加できて楽しかったです。  それに記念写真の件はこちらから提案したことですし。むしろ、私のわがままに付き合っていただいてありがとうございます」  俺たちを順に見ていきながら話し、そのまま背中を45度に曲げた。これがライブなら、「俺、目があった」「いいや、あのとき目があったのは俺だ」と視線の争奪戦が起きないくらいに一人一人に視線を送ってくれた。それだけで思春期の男子生徒の心は掴まれてしまった。  そんな彼女に、女慣れしてない西野は胸を掴まれた。いや、西野以外のクラスメイト十数人はもう好意を抱いてしまったことだろう。  そんな中で彼女はみんなに囲まれる様にしている西野と香川を見つけて、嬉しそうな笑顔を浮かべて駆け寄る。可愛い女の子が、自分に向かって歩み寄ってくる。そんな夢みたいな状況に、西野は軽くパニック状態だった。  彼女が今着ている服は、高校時代に彼女が実際に着ていたものらしい。そのためか、彼女に馴染んでいていた。彼女は成人した女性のはずだが、こうしていると本当の高校生のようで告白したくなった。そう思うくらいには西野はテンパっていて、それを香川も察知していた。
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