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「あ、君たち授賞式の子だよね。声を聞くまで本当に男の子なのかと疑っちゃったよー。ほんと、近くで見てもまじで可愛いし」
ずいっと毛穴が見えるのではないかと言うくらいに香川に顔を近づけて、吐息を混ぜたような声で言う。表情には艶めいていて、それを近距離で見ている香川に西野は軽い嫉妬心を抱く。思わず恨みがましい目で二人を見つめていたら、彼女がグリンとこちらに首を向けてくる。
驚いて肩がびくりと上がるが、それを押さえつけるように彼女が肩に両手を乗せるので全身の力が抜けた。
「君もすっごく可愛いよね。あのとき、記念写真撮っていいって言ってくれてありがとう」
「ヒャ、ヒャい。ありがとうございます」
「なんでありがとうなの? こっちがお礼を言う立場だよー」
真正面から向けられるキラキラの笑顔が眩しすぎて、西野の目は潰れそうだった。その影響で思考能力が低下し、舌も回らなくなっている。
その様子を見て香川は天を仰ぎ、彼女はファンの子などと接していると時々ある反応なので苦笑いを浮かべるだけ。
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