キネマ闇塚〔2018年〕

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キネマ闇塚〔2018年〕

『天地明察』  円盤(DVD)再生機の中に、岡田准一主演の『天地明察』を滑り込ませた。2012年に公開されたもの。監督は滝田洋二郎。最初はあまり期待していなかった(失礼)が、なかなか面白く仕上がっていた。  衣装や小道具、セットなども入念に作られていて感心した。バイオレンスならぬ「サイエンス時代劇」の誕生である。滝田監督の演出も、奇を衒わず、堂々としていて、安心して楽しむことができる。  前衛的手法や芸術的構図もまことに結構だが、撮った者にしかわからないような映画は、映画とは呼べない。少なくとも、劇場にかけるべきではない。ホームシアターの専門作品にして欲しい。  主人公の安井算哲は実在の人物である。その存在を教えてくれたことに感謝したい。映画にはそういう効能もあるのだ。岡田君のキャラと算哲のキャラが合致し、物語の核として機能していた。無論、実際の算哲とは相当な隔たりがあるだろう。あくまでも「映画の中の算哲」という話だ。俺もよくやるが、その種の(馬鹿げた)勘違いは避けたいものである。  迂闊なことは書けぬが、岡田君にはこういう役が似合う気がする。関ヶ原の石田三成もそうだった。才能は抜群だが、いささか頼りないところがある感じ。それが良いのだ。  岡田君本人は「高倉健を目指している」と聞いた。その志しの高さに俺は感動さえ覚えたが、彼には彼にしか演(や)れない分野を追及して欲しいとも思う。健さんが、算哲や三成を演じる光景なんて、ちょっと想像できない。これはやはり岡田君の領域である。  脇役の中では、何と云っても、関孝和(市川猿之助)が光っている。正式な師匠ではないが、算哲が尊敬と憧憬を感じている重要な役だ。難役だし、この役に猿之助さんが最適任かどうかはわからないが、狂気を帯びた芝居は「不遇の数学者」に相応の存在感を与えている。二天才が互いの存在を知るキッカケにも工夫が凝らされていて、印象深い場面になっている。  算哲の研究は「天体の運行を把握する」という壮大なものだ。宇宙的スケールの話である。が、これがもし、物語の舞台が現代なら、さほどに面白くはならない。江戸時代だからこそ、ドラマが盛り上がるのである。  同研究を快く思わぬ者たちの策動が始まる。やがてそれは、夜襲という形で具現化する。まことに物騒な展開だし、あってはならぬことだが、アクションに必然性を付加できる点が大きいのである。〔11月16日〕 [柳乃奈緒さんのコメント] 『キネマ闇塚』オープンおめでとうございます♪(*´∇`)ノ ますますメクるさんでの活動が面白くなってきました。 最近、Twitterよりもこちらへ来るほうが多くなっていますw 『天地明察』はまだ観ていないので一度観てみたいです♪ [闇塚の返信] ありがとうございます!御愛読をお願いします。 俺も相当楽しませてもらっています(笑)。始めて、まだ一ヶ月程度ですが、ここを選んで良かったと思っています。 柳乃さんのオススメが大きかったですね。感謝申し上げます。
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