コラム風〔2018年〕

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『怪奇くも男』 「ばかものめが!!そんなざまにされて、よくおめおめとかえってこれたものだ!!役たたずめっ。きさまはすぐに処刑だ!!」(愛蔵版・77頁)  とは、ショッカー総統(だと思われる)の台詞である。閣下に「役たたず」呼ばわりされているのは、仮面ライダーに敗れ、崖下に転落したくも男である。ライダー、初戦の相手であり、本郷猛の恩人、緑川博士を殺害したとんでもない奴である。  幸運にも、同僚怪人(うつぼ男)に救われ、命からがら、アジトに帰り着いたくも男を待っていたのは、閣下の罵倒であった。せっかく生きて戻れたのに、斬首されてはたまらない。くも男は助命を懇願する。彼も必死だ。 「ボ、ボス!お、お慈悲を……!!もう一度だけチャンスを!!お、お願いですっ。このままでは死んでも死にきれません!」(同頁)  くも男の言葉に動かされたのか、あるいは、初めから殺すつもりなどなかったのか、閣下はくも男の要望をあっさり認めるのであった。冷酷非情に見えて、案外度量の大きい人物なのかも知れない。因みに、ボスの出演は「声のみ」であり、その姿を読者に現すことはついになかった。  くも男は第1話に続いて、第2話にも登場している。まさに「仮面ライダーの好敵手」と云いたくなるのだが、どういうわけか、自ら命を絶ってしまうのだった。理由はわからない。ライダーにトドメを刺されるぐらいなら、自殺した方がマシだと考えたのだろうか?  ボスに命乞いをしてまで、再戦を望んでいた割には、諦めが早過ぎるような気もする。まあ、頁数の都合ということもあったのだろうけど……。  江川(達也)版『仮面ライダー』と云える『ラストマン』には、くも男ならぬ「クモ女」が登場する。やはり、組織が放った第一の刺客として。これは、江川先生がライダーに捧げたオマージュだと考えていい。〔12月22日〕
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