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コラム風〔2019年〕
【年の瀬に、難役を射た】
シャットダウン確認後、テーブルの上を片づけた。居室に近所の中華系レストランで買ってきた「豚肉とニンニクの芽炒め弁当」を持ち込んだ。この店の弁当はなかなか良い。味は無論として、量がたっぷりしている。いわゆる「食い出」があるのだ。食後、洗面所に行き、歯を磨いた。
居室に戻り、円盤(DVD)プレーヤーの電源を入れた。自動的に再生が始まる。菅田将暉とヤン・イクチュン、二大スター共演の『あゝ、荒野 前篇』の終盤を観る。2017年10月に公開されたもの。現時点における菅田ちゃんの代表作と云われている。さすがに面白い。
本格のボクシング映画だが、近未来SFの要素も組み込まれている。一見無関係のように思われる二つの歯車が噛み合うのは、おそらく、後篇の後半になるのではないか。まだ観ていないので、断言はできないが。
猛々しい、野獣的キャラクターに菅田ちゃんが挑んでいる。狂気をエネルギーにして生きているような男だ。その意欲は大いに買うが、いつの間にか、繊細な好青年に戻ってしまっている。演技としては失*なのかも知れない。しかし、俺には、こちらの菅田ちゃんの方が腑に落ちる。
人間の多面性を表現するのは難しい。若さと勢いだけでは、届かない部分があるのだ。その点、バリカン役のヤンさんは巧い。一貫して、芝居に説得力がある。だが、最も凄いのは、主演二人を食っているユースケ・サンタマリアの存在感だ。予想外の…と云っては失礼だが、進境振りに瞠目した。荒野前篇が、俺が観た「2018年、最後の映画」になった。〔1月1日〕
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