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手紙の内容は次の通りだった。
橋本様
先日はメールありがとうございました。
小説、読ませて頂きました。正直とても刺激的な内容でしたので少々動揺しています。
特に主人公の女性が私と同じ年代だった事もあるのでしょう。その女性が相手の男性によって急速に性に目覚めていく過程はまるで自分が今経験しているかの様な錯覚さえ覚えてしまいました。
私などは、もう女としては下っていくばかりだろうなと思っていたので、小説とは言えとても新鮮な刺激を貰えました。それに・・、主人が亡くなって3年が過ぎ、ご存じの通り新しい生き方を探していた私がこの様な小説に出会ったのは、ある意味必然だったのかもしれない・・とも思いました。
正直に申し上げて、人間は男も女も普段は自分を装って生きているのだと思います。どんなに澄ましてみても互いに一皮剥いてみればとても口にできない様な恥ずかしい願望を内に秘めている・・とそんな風に思います。
橋本さんもそうした部分を官能小説と言う形で表現していらっしゃるのでしょうし、それを今回は私に見せてくれた事はとても勇気のいる事だったと思います。
私などはそうした願望を他人に言う事は勿論、自分自身にも封印して来たように思います。(しかし「ある」と言う事は自覚していました)そんな私とってこの小説と橋本さんとの出会いはチャンスを頂いたのではないかと思えました。
ひょっとして今が過去の人生も含めて自由に生きる好機なら、そしてそれが可能なら、そういった部分を私も「官能小説」と言う形で表現してみたいとそんな願望を抱くに到ってしまいました。
女が官能小説なんてと思われるかもしれませんが、でも、あの小説を書いた橋本さんなら分かって頂けるかも知れないと思い恥を忍んで本音を書いてしまいました。
どうかこんな私を導いて頂けないでしょうか。勿論、お願いをするからにはそれなりの覚悟は出来ているつもりです。
静江
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