あじさいさらさら

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 あじさいの花弁がさらさらと川を流れてゆく。  丹精込めて育てた色とりどりのあじさい。薄青、緑白、淡紅。  育てたのは私ではなく、勝手にどこかに行ってしまった彼。私の長い黒髪が好きだと言ってくれた彼。  ぬるい風の吹く晩春の夜、空に浮かぶ更待月。  紫のあじさいにつけられた花言葉、「辛抱」「忍耐強い愛」。  こんなもの、もういらないーー  全てを打ち捨てて私は立ち去る。  川は静かに流れる、移り気な彼への想いも全部のせて。
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