キス魔スパーキングデイ※【完】

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 軟体生物のように動く舌が何度も突起の先端を弾き、くすぐったさとわずかな快感が染み渡る。  咥え込んだ指を舌で追い出そうと足掻いても逆に舌の表面を指先でつつき、なぞられ、首を竦めて喘ぐしかない。  かと思えばカリッ、と甘く噛みつかれ、うっすらと傷がついた。  その傷から滲む血を乳頭ごとキツく吸われ、また傷をつける。 「ンッ……あぇう、や、へぅ」 「む」  痛みと快楽をミルフィーユのように重ねていく意地の悪い吸い方。  ジクジクと膿んだような掻痒感で嬲られた俺は、たまらずアゼルの指に噛みつきやめてくれと訴えた。  噛まれたアゼルはなぜかキュピンと目を輝かせ、上目遣い。  そこはかとなく嬉しそうだ。  浮かれたような期待に満ちたようなニヤけた気配を感じる。なぜだ。  俺に噛まれると嬉しいのか? 困ったアゼルさん。もっと困らせてやろう。  普段の俺はそんなにアゼルに噛みつくことはないし、噛んだとしても強くは噛まない。傷がつかないとわかっていても痛みがあるとかわいそうだからだ。  しかし酔っ払いの俺に慈悲はない。  アゼルが俺の胸から血を吸うたびにガジガジと噛みつき報復する。  報復をするとアゼルはやっぱりなぜか機嫌が回復していくが、それでも俺は報復するぞ。めっ、というやつなのだ。 「め、ぅ……ぁっ、……ん」  そうやって何度も噛んで噛まれてを繰り返すと、熱を持った俺の体が、だんだんと官能的に疼き始めた。  体の下でシーツと板挟みになる両腕がもどかしげに戦慄く。  触りたくなってきたのだ。下着の中で苦しげなモノに。  おかしいな。おかしいか?  俺はアゼルをかわいがりたかったのに、今もそう思うのに、もっと、俺の深いところでそうしたいんだ。 「ヒ、ッ」  そんな俺の欲望の変化を見計らったかのように、アゼルはガブ、と強く乳首に牙を立てた。  散々かすめられた突起に深く食い込んだ牙が、俺の血液を奪っていく。  ドク、と緩く芯を持っていた肉茎が質量を増す。胸板を伝う血液を追いかけ、舌が肌を舐める。  ジンジンと痛みを感じながらも敏感に勃起する片方の乳首が視界に入り、俺は恥ずかしくってなんだか拗ねてしまいたい気持ちになった。  困ると言ったのに。……?  言ってないかもしれない。だけど困る。痛くて恥ずかしくて気持ちいいなんて、俺は絶対感じるじゃないか。  下着の中で窮屈そうに疼く屹立から、ジワリと先走りが滲んでいるのが見なくてもわかる。期待して、感じてる。  アゼルのばか。  責任取ってくれないと、許さない。 「っぁ、ふ」  口から指を抜かれて、チュ、と戯れにキスをされた。そんなのごめんにもなんない。全然足りないぞ。  乱れた呼吸を連れて見上げる。  アゼルは人の胸筋をご機嫌に揉みつつ、膝でグリグリと股間を刺激してニヤリと口角を上げた。 「ん、んん……っアゼル、いじわるだ、ばか、っう〜……っ」 「ふふん。俺の嫉妬と独占欲をちょっとは味わえってんだ。ほら」 「ぅあっ……!」 「かたっぽだけ乳首赤くなってんの、エロいぜ」 「いや、だ、や、っ……う、へんたいだいまおう……」 「!? 暴言だ! 聞き捨てならない過ぎるっ」 「うひぃ……っ」  アゼルが俺の乳首をこねくりまわすものだから悪態を吐いただけなのに、グルッと体を突然反転させられ、俺はうつぶせにベッドへ押し倒された。  下着ごと下衣を脱がされ剥き出しの尻がグイと割られると、外気に晒されたア‪✕‬ルがヒク、と縮こまる。
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