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「いーい、おばか。強姦ってのは、キミのケツの穴に無理矢理ち✕こを突っ込んで好き勝手に犯すことなの。わかる? 男としてちょーやなことなの。や、まぁ女もやだけどさ」
「えぇっそんなことするのか? それはいやだ、やめてくれ」
「いや今更やめてとか言われましても。もーやる気ないんだけど」
「わあ、よくやめてくれた。ありがとう」
「いやいや感謝されましても。なにコイツちょー疲れる」
一生懸命理解して思ったとおりに答えたのに、はぁ、と深いため息を吐かれた。なぜだ。
ちょっと焦ってオロオロと狼狽する。
俺のひっそりとした目標のためだ。
まず第一にたぬきちゃんの話をして、いじめるのをやめてもらう。
そして第二は、俺とトモダチになってもらうことなのだ。嫌われてしまったら、トモダチになってもらえない。
「は?」
「よ、よーし」
あー、うー、としばらく唸って、俺はハムたろーの頭をよしよしとなでた。
ハムたろーが訝し気に睨むので、ビク、と肩を丸める。でも負けてはいけない。
「そんなにええと、しょげるな。やはりハムたろーはハムスターだから、寂しがり屋さんなのか? 強姦、は俺は苦手だが……ハムたろーがオトモダチになってくれるなら、まぁ、一回ぐらい、我慢する」
エンジェルは強い子なので、少しくらい強姦をされてもきっと大丈夫。
だから落ち込むな、という意味を込めたなでなでと言葉だったのだが、ハムたろーはきょとんと俺を見つめるだけだ。
そんなにじっと見られると照れる。
俺はあんまり人と関わるのは上手じゃないんだ。下手っぴなんだ。
人間という生き物は、なんだか複雑で、大変な生き物だから。
たぶん俺の感覚とは違うのだろう。
ハムたろーはいやだと言っていたが、もしかしたら強姦というものはやるほうは楽しいのかもしれない。それなら、ハムたろーが楽しんでほしい。
うんうんと頷いていると、ハムたろーはゆっくりと口を開いた。
「キミ……おれと友達になりたいの?」
「あぁ」
「んで、そのためにヤられんの?」
「一回だけだぞ、一回だけ。それ以上はちょっとやだ……」
「…………」
うーん、と悩む。
普通のえっちならいいんだ。気持ちいいし、恐くない。
だが強姦とやらは昔を思い出す。
あれはきっと強姦というものをされたのだ。とても嫌だった。ハイエナさんたちがガブガブと、出たり入ったり中が痛い。
しかし一度なら我慢できる。
頑張ればな。トモダチはいないよりいるほうがいいから、気に入った生き物はトモダチでいてほしい。
やっぱり一度ではだめなのだろうか、とシュンと眉を下げてハムたろーを伺うと、ハムたろーは急に「あははは!」と笑い出した。
「ん? んっ?」
「ばっばっかだねぇキミ! あはははは!」
「?? なぜ笑う? 一度じゃだめか? それとも俺とオトモダチはいやなのか……?」
「あははっ! んふふふ、違うよおばかちゃん」
ケラケラと笑うハムたろーは、もう嫌な目はしていない。
俺はわけがわからなくて頭上にハテナをいくつも浮かばせた。どうして笑われてしまったんだろう。
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