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──その夜。
俺は自分の寮の部屋へ戻っていつもご飯の時間まで寝入っている狐さんのベッドにもぐりこみ、ことのあらましを説明した。
いつも通りの無表情で九つ生えたもふもふの尻尾に抱きつく俺を、狐さんが眠そうながら呆れた目で見る。
「俺は……タカのために、お願いしに行くと、聞いたんだが……」
「そうとも。お願いはちゃんとしてきたぞ。オトモダチも増やせた」
「……神……」
「おっと」
満足たっぷりの俺の言葉に、狐さんは俺の名前を呼んでゆるりと、だが強引に俺の体を引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。
すりすりと首元に頬を擦り寄せてくんくんと鼻を鳴らしつつ体臭を嗅ぐ。
これは甘えられているんだ。
さみしい時とか構ってほしい時に、狐さんが無意識によくやる仕草である。
肌に髪が触れるのがくすぐったくて体をよじると更にきつく抱きしめられ、うなじにチュ、とキスをされた。
「ん」
「神……俺が最初に見つけたんだから、他のにばかり、構うなよ……そうだろ……?」
「そうだよ。狐さんは俺の特別なオトモダチだ。狐さんが一番俺と仲良し……今日はほっといて、ごめんな」
「そうかい……神……神……」
「ん、ん……きつねさん、する、のか?」
「他のやつと、キスするからだ」
「っふ」
拗ねた狐さんの骨ばった長い指が口の中に入ってきて、俺の舌と戯れる。
もう片方の手が俺の下半身に伸びてきて、下着の中に侵入してきた。
九本の大きな尻尾がするりと俺の腕の中から抜けたかと思えば、ギシ、とベッドを鳴らして仰向けになった俺の上に、狐さんが覆いかぶさる。
狐さんは俺の脚の間に膝をねじ込んでわり開き、弱い部分を晒させた。
「ン…ぁ……っ」
口の中からチュプ、と指が抜ける。体を這う手に肌が粟立つ。
震えて感じる隙にシャツのボタンが外され、カチャカチャとベルトが開いた。
スラックスのホック、ジッパー。
ジジ、と下げられて、下着の上からまだ硬くなっていない膨らみに触れられる。
こんな時ばかり狐さんは素早い。
普段はあんなにのんびりしているのに。
キスをしながら服を脱がせてあちこち触って、俺はいつもわけがわからないうちに裸に剥かれて熱くなっているんだ。
「はぁ……ぁ……ん、っふ……」
「……大きな鳥かご、作るか……」
「んっ……は、やっぱり俺は、鳥なのか? っぁ…はぁ……っ」
「いや……俺の、天使だ」
「んん…んっ……!」
キスの合間に言葉を紡ぐと、吐息を食い尽くすように口づける狐さんの舌が巧みに動いて上顎や舌の襞をくすぐり、話す余裕を奪う。
キスをされているだけなのに、ビクッ…ピクンッ……と全身が反応していた。
俺が狐さんを真似てねこちゃんにしたキスなんか、まだまだお遊びだったようだ。
生き物のように口内を蹂躙する狐さんの舌に、俺は飲みきれない唾液をこぼして悶えることしかできない。
こっちの都合はお構いなし。
俺のトモダチレベルは、狐さんがナンバーワン。だから特別。
ようやく唇を離してもらって、はっ、はっ、と生ぬるい息を吐くが、狐さんは休ませる気もなく俺の胸に顔をうずめた。
「ぁっ…ん……そっ……ぁ……っ」
咬んだり、舐めたり、吸ったり。
こうされると、いつも胸の突起が濡れて真っ赤になるんだ。
舌はそのままお腹をすべり、臍のあたりをチロチロと舐める。
そして最後には、もうすっかり下着に大きなシミを作っている柔らかな屹立へとたどり着いた。
狐さんの舌が下着を器用に脱がせて、中からぐちょぐちょのものを取り出す。
──狐さん、あれをするのか……?
「はっ……っだめだ狐さん、それは、っあ……っ、く……っ」
その先を想像した俺は、なんとか腰を引こうと慌てて背中を丸めた。
あれをされると、俺はだめになるのだ。
なんでそうするのかわからないけれど、それは気持ちよすぎるからだめだっていつも言う。なのに聞いてくれた試しがない。
今夜も案の定そうらしく──狐さんは片腕で俺の腰を抱き寄せてもう片手で根元を握り、素知らぬ顔で口内へと咥え入れた。
「ん゛っ……!」
ギシ、とベッドが軋む。
わざと先っぽから根元までを唇でなぞるようにぬるるる……っと咥えられて、陰茎がビクビク震えた。いじわるだ。
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