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(side村田)
10月28日 PM06:43
頭のおかしくなった深瀬の話は、こうだ。
深瀬は昔から俺のことが恋愛的な意味で好きで、初めから俺の告白は本気じゃない気がしていたものの、邪な下心アリアリで受け入れたらしい。
これを機にあわよくば惚れさせられたらいいなーみたいな。
無理だとしても恋人気分を味わってあれやこれやと俺を彼氏扱いし、俺の遊びが終わったあとの思い出にするつもりだったそうだ。
罰ゲームだとは知らなかったが、なんとなく遊びの確信があったと言った。
そこに俺がフライングで暴露したもんだから、深瀬的にはもっと思い出をため込みたかったそうな。
そして考えた結果、それでも村田くんが好きなんです、ってわけだ。
俺はそりゃあ驚いた。
傍目にはわかりにくいが。
これがまた不思議なことに、さほど嫌ではなかったんだ。
というかぶっちゃけるとものすごく嬉しかった。
知らない間にまんまと惚れさせられていたということだ。
俺は正直にその思いを深瀬にズドーンと告白した。
だって深瀬は俺が好きなんだぞ? 躊躇する必要がどこにある。
深瀬は顎が外れたのかと疑うほど口をぽかんと開けて俺をまじまじと見つめ「は?」と言うと、数秒かけてじわじわと顔を真っ赤に染めていった。おもしろい顔だった。
それからややあって再起動し、震えた声で「お、おれも好き……です」と言った。知っている。ご存じだ。
が、ここで問題発生。
普通はこの流れと勢いならお付き合いに発展するだろう。
しかし、俺たちはもうお付き合いしていたんだ。
俺たちは二人額を集めてうーんと頭をひねった。
この状況が奇妙で、今更両思いになったならどうしたものかと考えた。
結果「じゃあ罰ゲームを終わらせてから改めて普通に付き合おう」ということになった。
◇ ◇ ◇
「ということで、約束通り罰ゲームはちゃんと終わらせたぞ」
ふん、と腕を組んでふんぞり返る。
いつものたまり場に集まった悪友の仲間たちは、なにか言いたそうな顔で俺を見つめている。む? なんだ?
言いたいことがあるならなにか言え、と促すと、一人がおず、と口を開いた。
「いやあなかなか面白い展開だったんだけどよ……終わらせたってことはお前、深瀬とセックスしたんだよな?」
「もちろんだ。俺は筋は通すぞ」
「マジかよーッ!?」
「うっへぇゲイじゃねぇのに案外男ってイケるもんだなぁ……!」
「硬派ヤンキーのくせにバカでバカなくせにヤリチンの村田がよぉ……!」
「しかも巨根の絶倫だぜ〜?」
「つーか結局付き合い直したのか!」
初めてエロ本を見た中学生のようにドキドキとはしゃぐ仲間たち。
そんな少年の様な反応をしたって無駄だぞ。中身は中学生から進歩なしだが、身体は立派な高校生だ。
だいたい俺はお前たちがよくナンパして女の子を引っ掛けてはここに連れ込んだりして、割とガッツリ乱交していることを知っている。今更対象が男に変わったくらいで騒ぐんじゃあない。
やいのやいのとたかってくる仲間たちをうっとおしく思いながら、持ち込んだコーラに手をつける。
なんと、炭酸が少し抜けているじゃないか。悪くないな。
コーラを飲み干すと、ハイテンションで肩を組んできたここのリーダーが、眉をしかめる俺にニヤニヤと囁いた。
「オイ村田ァ、ンで実際どうだったんだ? エ? 新境地開いたか?」
「? セックスの感想か?」
「おっ、それ聞きてぇ」
「よかったのかよっ?」
「初めてだからよくわからなかった。違和感が大きくてな。だがじっくり慣らしてしつこく挿れたり出したりしていると、圧迫感というか、擦れるのが妙にイイ箇所があったぞ」
「はぁ? なんじゃそりゃ」
「知らん。そこを強く突いたり擦ったり揉んだりすると、下腹あたりからなんかこう……じゅわ~っと熱いものがこみ上げてくる」
「じゅわ~っと?」
「じゅわ~っと」
「わっかんねぇ~っ」
周りが一斉に首をかしげる。
わかりやすいのにな……ううむ。
「つーかさ」
「なんだ」
「もしかして村田掘られた側?」
「そうだ」
「「「マジか!!」」」
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