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「藍田くんも用事があって来たんじゃないんですか?」
「用事はもう終わったから」
「?」
読みたい本、借りられたのかな?
もはや後光がさしてきた藍田くんの神々しさに負けて、突っぱねるのはやめた。
と言うより、藍田くんの反応が暖簾(のれん)に腕押し過ぎて疲れて来た……。
頭を打ったのは豆腐の角だったのかな……。
わたしが適当に持って来たうちの一冊を、藍田くんが手に取る。
「友達のためって言ってたけど、どういう状況なの?」
「周囲からは完全に公認なんですが、お互い両想いなことに欠片も気づいてないんです」
「困ったね」
「本当に」
「あと千波ちゃん、敬語やめない?」
あ……。そういえば同い年だったっけ……。
「で、相手は王子って呼ばれてるんですけ――呼ばれてるんだけど、わたしの親友を見つけると忠犬にようにやってくるから、女子も嫌がらせとかしようって気が起きないくらい見てて微笑ましい二人」
「へー。傍から見ててラブラブだけど、本人たちのみ自覚がない、と?」
「そういうことだね」
「本人たちが気づくまで待つってのはナシなの?」
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