1 休日は図書館で

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司由羽(つかさ ゆう)。キラキラ王子系。ただし本人は無自覚っぽい。 那也を見つけたら忠犬のように寄って来て、那也ばかり見ている。 普段はクールな王子のデレデレさに、かなり早い段階で周囲からは公認の仲になっていたんだけど、どうやら王子は那也への気持ちを恋愛感情だと自覚していないようだ。 那也に至っては王子との関係を、王子と侍女だから女子から嫌がらせをされないと思っている。 ……心配すぎる……。 自分の恋愛を放棄していたから今まで友達の恋愛話も聞き流していたけど、こと那也に至っては聞き流しなんて出来ない。 せめて那也が自分の気持ちを自覚してくれないと―― そう思ったわたしが頼ったのは、図書館だった。 ――過去の偉大なる作家さま! どこかに恋愛の答えを書き残していてくれませんか! もともとわたしは、本では小説も専門書もすき、というくらの雑食だったから、とりあえず恋愛論みたいなコーナーから回り始めた。 手に取ってパラパラとめくるんだけど、いまいちぴんと来ない……。   上の方に並んでいる本を見上げていると、 「読みたいのある? 取るよ?」 ――不意に、誰かに声をかけられた。 「え?」 聞いたことのない声だけど、確かにわたしの真後ろから聞こえた。
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