1 休日は図書館で

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振り返ると、背の高い男の子がわたしを見下ろしていた。 少し垂れ気味な目が印象を優しくしていて、真っ黒い髪に装飾品の類は一切ない男の子だった。 けれど全然地味ではなく、爽やかなたたずまい。 軽はずみに女子に声をかけるようには見えないから、もしかしてわたしを知り合いと間違えたのかな……? それとも見た目とは違ってナンパな人? 明らかにわたしの目が胡乱だったのだろう、男の子は「あ、ごめん」と口走った。 「ずっと上の方見てたから、取りたいのあったのかなと思って」 「あ、いえ……探してるのがあるわけじゃなくて、いいのないかなー、と……」 「そう? じゃあ上の全部おろそうか?」 ……⁉ なっ……笑顔で何言ってんのこの人! 「さ、さすがにそれはほかの方の迷惑になるかと……」 「あ、そっか。優しいね」 「あ……はは……」 いやいや。優しいどうのじゃなくて、常識の問題でしょ……。 「どういうの探してるの?」 「んー……恋愛についての考察が読みたいんですけど……」 「……自分用?」
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