1 休日は図書館で

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「同い年でしたか。てっきり年上かと……。坂野千波です」 名乗ると、藍田くんはじっとわたしを見て来た。 あ、いつもの来るかな。最近ではからかわれる前にアザのこと、先手を打って自虐ネタにしてるから―― 「この――」 「千波ちゃん」 「……へ?」 「て、呼んでもいい?」 にっこりと首を傾げて言う男の子。 自分の左頬をさしていた指が行き場を失ってしまった。 や、やっぱり軟派な人か……! すっと自分の顔が真顔になるのがわかった。 「すみません、わたし男の人と親しくする気ないので、これで失礼します」 「ちょ――」 素早く頭を下げて、適当に本を五、六冊引き抜いて踵を返した。 こういう人とは関わらないのが一番だ。からかわれなくても、男の人と話すの得意じゃないし。 ……そんな感じでわたしは逃げた。はずなのに。 「………」 自習席で本を開くわたしの隣に、藍田くんがいた。 そして何故かわたしをじーっと見て来る。
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