1 休日は図書館で

8/17

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
「これのおかげで醜女(しこめ)扱いしかされてきませんでしたから。だから男の人も苦手なんで、あまり話しかけないでもら――」 「誰?」 藍田くんの低い声が遮って来た。 さっきまでの爽やかな感じとは一転、黒いものを感じて思わず藍田くんを見てしまった。 「……なにがですか? ――」 藍田くん、やっぱり笑ってなかった……。 鋭い目つきでわたしを見て来る。 「こんな可愛い千波ちゃんにそんなクズなこと言ったやつ、誰? 葬ってくるから名前教えて?」 「……――――っ、な、なに言ってんですか!」 衝撃が大きすぎることを言われて、バンッと机を叩いて立ち上がってしまった。 直後、たくさんの視線を感じてはっとした。 ここ図書館! 居たたまれなくなったわたしは、さっき持って来た本とバッグを慌てて手にして、わたしを見て来る来館者さんたちに何度も頭を下げて逃げ出した。 ……はずなのに。 「千波ちゃん、ごめんね……?」 どこまでついてくるのこの人―――!
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加