同じ未来へ

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「黒崎・・・てめえ、何しにここに来やがった」 全員がそろったところで、誰よりも早く口火を切ったのは昭一おじさま。 用件は、わかっていると思うのだけど・・・。 「・・・咲良さんとお付き合いをさせていただきたいので。ご両親に、その、ご挨拶に」 黒崎さんは、淡々と、仏頂面で答えを返す。 すると昭一おじさまは、ものすごい気迫で黒崎さんをギッ!と睨んだ。 「この野郎・・・本気で言ってんのか。咲良に手を出そうなんて、随分といい度胸じゃねえか・・・」 「・・・」 バチバチと、見えない火花が燃え上がる。 早くも漂う殺気立った雰囲気に、私はハラハラしてしまう。 「昭一さん、とりあえずはまあ落ち着いて。ほら、父親である和馬の出番もないでしょう」 そこで、佐和子おばさまが苦笑しながら口を挟んだ。 そして「ねえ、和馬」と話題を振ると、パパも同じく苦笑した。 「そうですね。昭一さん、私も父親として複雑な気持ちはありますけどね。二人の気持ちは固まっているようだから。ひとまず話を聞きましょう」 「・・・・・・」 おじさまは、とても不服そうな顔をした。 けれど、「和馬くんがそこまで言うなら・・・」と、耐えるように口をつぐんだ。 「・・・」 みんなの視線を受けた黒崎さんは、強張った様子でふう、と息を整えた。 そして、決意をこめた表情で、正面に向かって頭を下げた。 「咲良さんと、結婚を前提にお付き合いをさせていただきたいと思っています。ですから、その・・・」
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