予想外の再会

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「ちょっとちょっと有吉さん!抜け駆けやめてくださいよ。みんなじゃんけんで合コン参加権を勝ち取ったんですから。運命というなら、俺だって同じですよ」 「いや、それを言うならオレもだろう」 「ああ、オレもだな」 私の向かい・・・有吉さんはちょうど真ん中の席に座っているので、両脇からの「ちょっと待て」コールが入った。 けれど有吉さんは鼻で笑った。 「違いますよ。こう言ってはなんですが、僕は将来有望なキャリア組です。皆さんとはスタートラインが違うかな。・・・ああ、羽鳥さん、あなたの叔父様である岩田本部長とも親交がありまして。 父は警察庁で働いてまして、祖父は議員をしています。家柄的にも、あなたに見合うと思いますよ」 勢いに圧倒されて、「はあ」と曖昧に返事した。 私の左隣に座る飯塚華英(いいづかはなえ)は、ぼそっと小声で呟いた。 「この人めんどくさ・・・」 申し訳ないけれど、華英ちゃんにちょっと同感。 男性陣も、有吉さんにむかっと頭にきた様子。 「有吉、すげえ感じ悪いけど」 「いやいや・・・。みなさんとの違いを一応はっきりしておかないと」 「・・・あぁ?」 有吉さんが、右隣の宮森さんと一触即発な雰囲気に。 左端に座っていた、岡本さんが慌てて席を立ちあがる。 「ちょっ、ま、まあまあ!それだけ、有吉さんは咲良ちゃんにアピールしたいってことですよね!いやー・・・今日は咲良ちゃんはもちろん、飯塚さんも橋元さんも望月さんも美人だし、こう・・・力が入るのわかります! ・・・って、あ!千穂ちゃん!千穂ちゃんももちろんかわいいよ!」 岡本さんは、必死に場を和ませようとしながらも、自分の彼女である千穂ちゃんを褒めることは忘れなかった。 千穂ちゃんは、真っ赤な顔で「いいから!!」と岡本さんの腕を引っ張って、そのまま椅子に座らせていた。
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