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寝不足の原因は、分かってる。 あのボディクリームの一件で、彼女の裸体が頭に浮かんでから、容易に想像出来てしまうのだ。 公園のベンチで慰める為に触れた、丸い膝小僧も拍車をかけた。 仕事のパートナーだから、そんな目で見ては駄目だと、彼女と違う容姿の女優の裸で上書きしたって、余計酷くなる一方だ。 焼き付いた行為の映像が、声が、俺の頭の中で彼女に置き換わる。 罪悪感と一緒に生じる、男としての昂りが自分で嫌になる。 一息ついたのでフロアーに戻ると 岡田さんは相談スペースで、ガタイの良い男と歓談してた。 「岡田さん、今度また飲みましょう。」 と言う言葉が聞こえ、思わず声をかける。 「岡田さん、どちら様?」 「あ、良かった!北野さんは初対面ですよね?○○製作所の田中様です。」 俺が引き継いだ時、丁度○○製作所の社屋移転があり、先方がドタバタしてて、電話だけの挨拶になっていた担当者だ。 「初めまして、田中です。」 立ち上がると、俺より上背があり肩幅もガッシリしてる。体育会系な発声で、第一印象はデカイ熊だ。 名刺交換をし、肩書きをチラっとみる。 営業本部 国内事業統括グループ課長とある。年は岡田さんより、少し上な感じ。 「先日は祝いのお花、有り難うございました。ようやく落ち着きましたので、ご挨拶に伺いました。」 今後とも宜しくお願い致します、と卒の無い挨拶を残し、去っていった。 「…花、手配してくれてたんだ。」 「はい、長い付き合いですし。年々事業規模も大きくなっているのに、小回りがきく製作所さんなんで。」 岡田さんは、お茶を片付けてる。 「彼と…よく飲みに行くの?」 彼女は、ふっと笑い 「前任の高橋さん、田中さんと同郷で凄いウマがあって、TTコンビなんて言ってふざけて、良く飲んでたんです。 私は、何度かご相伴に預かった程度です。」 「もし今度誘われたら、俺か課長に言って。 一席設けるから。」 そう、ぶっきらぼうに言い捨てた。 今夜、決着をつけよう。 最近続くアレが、只の欲求不満の生理的現象の現れなのか、彼女が気になり始めた故の状態なのか、 直接、本人と話してみよう。
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