サディストレシピ～あの人が欲しい～

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「感じの良い店だね。」

今日は俺も定時上がりにして、岡田さんを夕飯に誘った。

トラブルの再発防止策提出はまだだが、
総会向けの営業部一大業務、来期販促戦略を幾パターンか考えて、それが効を奏した時の売上予測の資料作成、俺の担当商品分はO.K.貰ったんだから、打ち上げでしょう。

岡田さんに、最近俺もA町住人になった事を打ち明けた。
最寄り駅は、俺がJR、彼女が地下鉄を使ってて、通勤路はかぶってなかったようだ。

引っ越してからの生活必需品は、ネット購入や通勤経路の店で、町の開拓はしてなかった。

俺がA町内で美味しい店を教えて欲しいと伝えると、彼女のマンションがある公園出口と、池をはさんで反対側出口の戸建てが多い地域、住宅街の一軒家を改装した店に決まった。

sun&moonという、その店は店内の壁面本棚とお洒落なキッズスペースを囲む席、庭に配置したテラス席とその回りのプランター野菜がウリだという。

sunの時間帯は朝7～14時。モーニングから始まりランチで終わる、オーナーの奥様担当。
moonは夕方5～11時、オーナー担当。住宅地が近いので、夕飯の一品になるようなメニューのテイクアウト販売もしてる。

そして何より凄いのは、子供達の学校行事や習い事の発表会などを優先するため、土日を定休日に徹底してる事。

店の裏手が自宅で、奥様が店内で作る朝食を食べて、子供達は登校。ひとえに家族と店を分けたくなかったという。
ここで素朴な疑問、

「何で、そんなに詳しいんですか？」

岡田さんは乾杯した後、おつまみメニューを吟味している。

「ん～、入社して最初に配属されたのが設計リフォーム部だったの。その時のお客様。」

その部は、うちの会社が扱う建材(国内外問わず)使い家屋の内装などを仕上げ、出来た後は期間を決めて、内覧や制作過程、施主のコダワリを会社の広告としてHPやSNSでupする。

「資格がない新人だからさ、何でもやらされたよ。」

彼女の斬新なアイデアやアンテナは、そういう経験で培われたのだろう。